阿佐美やの想い
そのやきいもやさんは、
「いも子のやきいも」。
ある日、子どもたちの気配を察してホワッとあらわれる。
小さなトラックに大きな魔法のツボをのせて。
あるときは、もっと小さなリヤカーを押しながら。
「いも子のやきいも」がやってくるとね、
近所の見慣れたはずの場所に、楽しみやワクワクが生まれるんだ。
「いも子のやきいも」が届けているのは、おいしいおいもだけじゃない。
「今日はやきいもの日だね」
「まだ残っているかなあ…」
「…おいもください!」
「いも子のやきいも」がつくっているのは、
寒い冬の日でもそんな風に親子が「寄り道」できるあったかな場所。
その寄り道がいつまでも思い出に残ることを願って、
きょうもこの町のどこかでおいもを焼いている。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
いつ、どこに出没するかは、風の吹くまま気の向くまま。
でもね、「いも子のやきいも」を見つける方法が3つあるらしい。
ひとつは目じるし(マーク)、 もうひとつは耳じるし(歌)、 最後が鼻じるし(やきいものにおい)だ。
「いも子のやきいも」がやってくると、
目をつぶっていても、耳をふさいでいても、鼻がちょっと詰まっていても、
ちゃんとわかるようになっているんだ。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
3つの印のいちばんめ、「目じるし」を教えてあげるよ。
そう、「いも子のやきいも」の目じるしは、「いも子」。
この町のどこかで、子どもたちが気づいてくれるのをいも子は待っている。
このいも子のマークはね、「いも子のやきいも」の生みの親である
「阿佐美やいも子」の分身だ。
それとね、「いも子のやきいも」ではたらくひとは、
みんなあたまにまんまる帽子を被ってるから、ひと目でわかるよ。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
次の印を教えてあげるよ。耳をよおく澄ましてごらん。
「まんま~るたいようしずんだら~」
「いも子のやきいも」はいつもこのお歌といっしょに登場するんだ。
このお歌が聞こえてきたら、あたりを見渡してごらん。
「いも子のやきいも」は近くにいるはずだよ。
あとね、このお歌のとおりに絵を描いたら「いも子」があらわれるって知ってた?
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
最後の印はね、そう、おいもを焼く香ばしくて甘いにおいなんだよ。
「きみは、ほくほくのおいもが好き?」
「それとも、しっとり甘いおいも?」
「いも子のやきいも」は、いつも決まって子どもたちにそう尋ねる。
じつは、「おいしいおいも」は人によって違うんだ。
だから、「いも子のやきいも」はみんなにおいしいおいもを届けるために、
たくさんの種類のおいもを焼いている。
「いも子のやきいも」なら、きっと食べたいおいもが見つかるはずだよ。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
魔法の壺の中で焼かれているのは、農家さんの畑から直接やってくるこだわりのさつまいも。
「いも子のやきいも」は、できるだけ農薬を使わずに育てたおいもを使っている。
大きいのもあれば、小さいのもある。
まあるいおいもも、細長いおいももあって、
姿もカタチもみんなバラバラだ。
カタチだけじゃないよ、おいもの香りや味の深みも
ひとつひとつ違うんだ。それが農薬の力を借りずに
いっしょうけんめいに育ったおいもの魅力。
農薬を使わずにおいもを育てるのはカンタンじゃない。
草取りも大変だし、カタチも不揃い。
でも、そんな風にして頑張っている農家さんを
「いも子のやきいも」は応援してるし、感謝もしてる。
わが子にも安心して食べさせられる焼き芋。
それが「いも子のやきいも」のおいもを選ぶルールだ。
そのやきいもやさんは、「いも子のやきいも」。
ほんとうは、おいもをおいしく焼く魔法なんかない。
ひとつひとつのおいもの顔をよ~く見て、おいもの性格を見極めて、
おいもの声を聞きながら、ていねいに焼く。
焼き方はふたつ。
ひとつは「石焼き」、もうひとつは「壺焼き」だ。
石焼きは、皮が焦げて香ばしく焼きあがる。
壺焼きは、甘さがギュッと奥までいきわたって、
しっとりはよりしっとりに、
ホクホクはよりホクホクになるんだ。
どっちがおいしいかは、ぜひ食べくらべてみて!